E26キャラバンは、多目的に使える頑丈な車両として人気を集めています。
その重要な要素の一つが「ラダーフレーム」。
キャラバンのフレームはラダーフレームを採用しています。
厳密に言えばキャラバンフレームはビルトインラダーフレームと呼ばれるボディと一体型のラダーフレーム。
フレームにはこの他に、モノコックフレームという構造のものがありますが、この2つのフレーム構造の違いは何でしょう?
この記事では、それぞれのフレームの特徴やメリット、デメリットについて詳しく説明します。

キャラバンの製造は日産車体
キャラバンのふるさとは日産車体で、国内には湘南工場と九州工場の二つが存在。
キャラバンはこのうちの九州工場で生産されています。
ここで製造している車種は5車種
- QX80
- パトロールY62
- アルマーダ
- エルグランド
- キャラバン
みんな頑丈な車ばっかりですね!
湘南工場ではNV200、ADバン、パトロールY61、ピックアップパトロールを生産しています。
つまりシャーシには、もともとのノウハウがあり、ラダーフレーム(フレーム車)の加工技術は定評が高い。
実は初代エルグランドに関してはキャラバンとは深い関係性があります。

1997年発売のE50の初代はホーミーエルグランドと呼び、キャラバンと共通のフレームを使用した経緯があり、足回りのサスペンションこそ違いましたが、当時はキャラバンと同じ6穴のホイールを履いていました。

(商用車であるキャラバンは今でも6穴のホイールを装着しています。)
この様な構造から初代エルグランドの強度は抜群です。
E51エルグランドでは、先代と同じFRレイアウトを引き継いでいましたが、ホイールは5穴となり多くの社外ホイールから選べるようになりました。

2010年から発売のE52エルグランドではFFレイアウトに刷新され、モノコックフレームになっています。

日産車体九州工場は、年間12万台の生産能力があり、基本構造の異なる車種を1つのラインで製造する「車種混流生産」が可能な工場。
ビルトインラダーフレームとは
キャラバンのフレーム構造は少し特殊でボディ一体型のラダーフレーム、ラダーがモノコックの一部を構成する、ビルトインラダーフレームという構造。

キャラバンでは、ハシゴ状のシャーシがフロントタイヤ取付け部からリヤタイヤ取付け部まで連続しているのでラダーフレーム構造とみなせます。
しかし、モノコック車でもリヤタイヤ付近だけ同様の構造を採用するものもありますが、フロントタイヤ取付け部からリヤタイヤ取付け部までの連続性のあるラダー構造ではありません。
このことからキャラバンは、ボディ一体型のビルトインラダーフレームという構造をしている車種となります。

日産では「モノコック」+「ラダーフレーム」でモノフレームとも呼ばれています。
これは頑丈なシャーシ(ラダーフレーム)の上にモノコックというボディを一体化させて作るクルマという意味。
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ラダーフレームの種類について
ラダーフレームとは独立したフレームの上にエンジンやサスペンション、そしてボディが乗るフレーム構造。

- セパレートフレーム
- アンセパレートフレーム
この2つに分けることができます。
セパレートフレーム
より身近なのは、ラダーフレーム構造の一種のセパレートフレーム。
その名のとおり、ハシゴ状のフレームにエンジンやサスペンションなどが取付けられ、ボディが載せられる構造です。

ラダーフレーム構造は、そのシンプル仕組みであることから、クルマが誕生した当初から使われてきた構造。

現在もトラックやバスはもちろん、ランドクルーザーのようなオフロード4WDなどに使われております。

また、先ほどご紹介したビルトインラダーフレーム構造として、ハイエースやキャラバンのような商用車でも採用されているのが現状。
アンセパレートフレーム
もう一方はマルチチューブラーフレーム構造で、アンセパレートフレームと言われています。
マルチチューブラーフレームはチューブのような小径の鋼管を、たくさん組み合わせ骨格を作るもの。
コストがかかるため、少量ロッド生産のスポーツカーやレーシングカーにしか使われていません。
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ラダーフレームのメリット
- 一般的にラダーフレームは、仕組みがシンプルであることに加え、製造が容易であること。トラックの荷台など、車体架装の自由度が高いことや堅牢性が高いことなどがメリット。しかしキャラバンではボディを一体化させているため車体架装はできませんが、曲げ剛性やネジリ剛性があることが構造上のメリットとなります。
- ラダーフレームは、鋼鉄製の大型梁を使用して作られており、前後の梁を接続するラダー(ハシゴ)のような形状をしています。ラダーフレームの構造は、重い荷物を運ぶ商用車としてのキャラバンに適しています。フレームが剛性を持っているため、大きな負荷にも耐えることができます。
- 構造上フレームの下部にはサスペンションや駆動系、燃料タンクなどの重要な部品が取り付けられるため、上の荷室空間がすべて活用できることがメリット。キャラバンではスペアタイヤも下部に収納されています。

ラダーフレームのデメリット
- ラダーフレームの鋼材は重く重量の増加に繋がります。このような理由から、キャラバンではビルトインでボディ一体化にして軽量化させてはいるものの、やはり純粋なモノコック車に比べ車重が増しているので「実際」燃費はよくありません。
- ラダーフレームでは、その構造上、フレームの上にキャビンがあるので乗車位置が高くなります。当然、乗り降りはしづらく乗用車とは違う乗り物という意識で乗る必要がある。
- ラダーフレームの構造上ではリーフサスペンションが主流。頑丈なリーフスプリングは積載性能に優れていますが、その乗り心地は悪く振動や騒音が車内に伝わりやすい傾向があります。

モノコックフレーム構造について
現在販売されている乗用車のほとんどが採用している「モノコックフレーム構造」は、簡単に説明すれば、フレーム(シャシー)と車体(ボディ)が一体化し、独立したフレームを持たない構造を指します。
フレームを持たないことから単純に「モノコック構造」とも呼ばれている。
フレームと車体が一体になっていることから剛性を保ちつつ軽量化もでます。
このような特性から、乗用車に向いている構造となります。
また、自動車メーカーが採用している衝撃吸収ボディでは、ボディ全体が構造部材として機能するため、衝突時に骨格全体で衝突エネルギーを吸収できるといった構造となっており、これが日産のゾーンボディ。
キャラバンのゾーンボディについての詳しい内容はこちらの記事で紹介しています。

モノコックの素材は鋼板が一般的ですが近年では新しい素材として、アルミを利用したり、カーボンファイバー強化プラスチックを組み合わせたり、更に軽量化や剛性を高めたりながら進化しています。
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モノコックフレームのメリット
- モノコックフレームは、軽量かつ剛性が高いため、燃費の向上に寄与します。また、軽量化により、加速性能や運転の快適さも向上します。
- フレームとボディが一体化しているため、振動や騒音の伝達が少なく、乗り心地が良いという利点があります。
- モノコックフレームは衝突安全面が優れているというメリットもあります。
モノコックフレームのデメリット
- モノコックフレームは、ラダーフレームに比べて修理や交換が困難なケースがあることがデメリット。フレームとボディが一体化しているので、大規模な修理が必要な場合は手間とコストがかかる可能性があるため。
- モノコックフレームは、重い荷物を運ぶ商用車に比べて耐久性にやや欠けます。
- トラックの荷台を架装するように、ボディに手を加えることができないこともデメリット。乗用車でボディ架装をするケースはほぼ皆無なので、大きなデメリットとは言えないでしょう。


SUVは全てラダーフレーム?
最近のSUVブームによって、2WDや4WDの駆動方式に関係なく車高が高いツーボックススタイルのクルマが、一般的にSUVと呼ばれています。
悪路を走るといったイメージが強いことから、頑丈なラダーフレームを採用しているイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
実はこのようなSUVスタイルのクルマにも2種類の呼称があり
- クロスカントリーSUV
- クロスオーバーSUV
に分けられ、理由はボディフレーム構造に違いがあります。

クロスカントリーSUVとは?
クロスカントリーSUVとは、フレームの上に車体が乗せている構造、つまりハシゴ状(ラダー)のシャーシを採用したラダーフレーム構造。
ラダーフレーム構造の方が強度に優れているため、オフロード道を走ってもモノコック構造に比べて大きな衝撃に強く、ボディにいくらダメージを負っても、シャーシが無傷なら走り続けることができるくらいタフ。

トヨタのランドクルーザーや三菱パジェロ、スズキジムニーなどがラダーフレームを採用しています。

クロスオーバーSUVとは?
クロスオーバーSUVは、フレームと車体が一体化になったモノコックボディ構造で作られたSUV。
シティ四駆と呼ばれ、主に街乗りでの使用を目的とした都会的なクルマです。
街乗りでの乗り心地も良く、悪路を走れないこともありませんが、モノコックボディは一体型構造。
つまり衝撃をクルマ全体で受け止める構造なので、大きな衝撃が加わった場合では、最悪クルマ全体に歪みが生じる可能性もあり、走行不能に陥る場合もありますので本格的なクロスカントリー車のような無茶はできません。

トヨタのハリアー、ホンダヴェゼルなどが乗り心地や安全性等を重視したオンロード走行をメインとしたシティ四駆のSUV。
まとめ
いかがでしたか?キャラバンのフレームキャラバンフレームはビルトインラダーフレームと呼ばれるボディと一体型のラダーフレーム。
「モノフレームボディ」ともいいます。
中古車販売店で「修復歴あり」となっているクルマは、一般的に骨格部分の損傷を修復したものとなります。
クルマは
- エンジンルーム
- キャビン
- 荷室(車室)
このように、3つの部分から成り立っている。
クルマのボディ構造は大きく分けると、「フレーム構造」と「モノコック構造」の2種類。
- 「フレーム構造」は、エンジンやサスペンションなどが取付けられたフレームシャシーの上にボディが載せられているラダーフレーム構造。
- 「モノコック構造」は、シャシー(車台)とボディが一体化されているモノコックフレーム構造。

それぞれのクルマの特性に合わせて使い分けられています。
ラダーフレームは耐久性や整備性に優れ、オフロード車や重い荷物を運ぶためキャラバンのような商用車に適している。
モノコックフレームは軽量で剛性が高く、燃費や乗り心地の向上に貢献しているので乗用車の多く使われています。
ただし、キャラバンではビルトインラダーフレームと呼ばれるボディと一体型のラダーフレーム。

モノフレーム構造で、近年のゾーンボディと呼ばれている衝突安全ボディを採用。
キャラバンは、この頑丈なラダーフレームの上に衝突安全ボディを一体化した構造。
しかし、そのボディ一体化構造はモノコックフレームにも近く、大規模な修理が困難で、手間とコストがかかる可能性があります。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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