あなたは1BOX車である
キャラバンの安全性について
どのような印象を持たれていますか?
「ボンネットが無いので正面衝突が怖くて乗れない」
「商用車なので安全性は考えていない」
「人員に対しては軽視されている」
そんな印象を持っていませんか?
私もE25キャラバンからE26キャラバンにモデルチェンジした際に、ハイエースみたいに形はカッコよくなったけどボンネットが無くて大丈夫かな?
なんて思って不安になり色々調べてみました・・・
その結果
「ご安心ください」
キャラバンはしっかりと衝突安全試験をクリアしたクルマです。
E25キャラバンからE26キャラバンへモデルチェンジした際、それまであった190mmのクラッシャブルゾーンが削られ、ハイエースのようなしシルエットとなりました。
しかし決して安全性を度外視したわけではありません。
キャラバンは「衝突安全ボディ」という規格に基づき設計されています。
昔の1BOXカーを見ればわかるように、それでも現行キャラバンには小さなボンネットが付いています。
そこがクラッシャブルゾーンとなります。

この記事を読むことによって、現行E26キャラバンの衝突安全ボディについて幅広く学べます。
また、運動エネルギーの観点から実際に軽自動車と衝突を起こした際の、数値を算出していますのでご参考にして下さい。

キャラバンの先進安全装備
- 全方運転システム
- インテリジェントエマージェンシーブレーキ
- 踏み間違い衝突防止アシスト
- インテリジェントアラウンドビューモニター
- インテリジェントルームミラー
- LDW(車線逸脱警報)
- ハイビームアシスト
- 標識検知機能
- インテリジェントDA(ふらつき防止警報)
- ヒルスタートアシストVDC(ビーグルダイナミクスコントロール)
- ABS(アンチロックブレーキシステム)
- SAFETY SHIELD セーフティシールド
セレナの安全装備は、通常運転から衝突まで幅広く状況に応じて、バリア機能を働かせます。
万が一運転手が気付かなくてもクルマが危険を察知し、サポートしてくれます。

衝突安全ボディの新規格とは
衝突安全ボディとは1993年に道路運送車両の保安基準が改定され、1994年に以降のクルマには前面衝突試験が義務付けられました。
自動車事故対策センターによる自動車アセスメント(JNCAP)といった公的な機関での格付けによって、消費者がそのクルマの安全性を客観的に知ることが出来るようになりました。
衝撃を吸収する「クラッシャブルゾーン」
乗員の安全を確保する「セーフティゾーン」
に分けられたモノコック又はスケルトン構造として作られています。
日産では自動車アセスメントで衝突実験をしていないクルマでも社内試験によって、前面だけでなく、オフセット衝突、ポール衝突、など様々な形態の衝突テストやコンピューター解析を行いながら安全性を高めています。
フルフラップ前面衝突では、55km/hから64km/hでの前面衝突試験が行われています。


フルフラップとオフセット前面衝突の違い
こういった法改正も踏まえ日産の衝突安全ボディの構造はゾーンボディといい2000年8月以降では全ての車種にゾーンボディを採用しています。
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2000年以降には、それまでのフルフラップ前面衝突に加えオフセット前面衝突試験も項目に追加されました。
フルフラップ前面衝突試験
フルラップ前面衝突試験が主に乗員を保護する拘束装置(特にエアバッグ、シートベルトなど)を評価するのに適している。
オフセット前面衝突試験
オフセット前面衝突試験は衝撃を車体の一部で受けるため、乗員への衝撃はフルラップ前面衝突に比べ弱いものの車体変形が大きく、変形による乗員への加害性の評価に適しています。

キャラバンはゾーンボディ
キャラバンのゾーンボディは衝撃吸収ボディで、高強度安全ボディ。
ラダーフレームをベースとした「ビルトインラダーフレーム構造」を採用。
キャラバンのフレーム構造についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
キャラバンのクラッシャブルゾーンはゾーンボディによって、衝突車両を押しながら潰れることで、キャビンへの衝撃を最大限少なくします。
2002年発売のE25キャラバンでは190mmのクラッシャブルゾーンがありましたがその分、荷室寸法が犠牲になり2800mmととどまり、ハイエースの3000mmと比べても200mm短いことからシェアが激減。

そのような背景からモデルチェンジしたE26キャラバンは、ホイールベースを14cm伸ばしフロントのオーバーハングを短くした分クラッシャブルゾーンを縮小しましたが、衝撃吸収の面積を広げ最新の衝突基準をクリアしています。

つまりキャラバンはハイエースそっくりのシルエットです。

もちろんハイエースも衝突安全ボディです。
さらに、ストレート構造に進化したフロントサイドメンバを支える三又構造が、残った衝撃をも3方向に分散し、キャビンへの伝達をブロックします。
セーフティゾーン高強度材質をキャビンに採用したことに加え、クラッシャブルゾーンが潰れることで減少した衝撃を構成パーツ各所へ分散することで、乗員を守る高強度キャビンの変形を最低限にとどめます。
日産での自動車アセスメント試験の対象車は、販売実績の多い車種に限られキャラバンはアセスメントでの格付け対象にはしておりませんが試験の基本条件は同じで、さらに項目にはない後面衝突やポール衝突試験も独自に行っています。
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質量の原理キャラバンは安全か?
質量の原理からキャラバンの安全性について考察します。
重量のある方が有利
交通事故等で衝突する自動車が発する運動エネルギーは、クルマの重量(質量)に比例し、走行速度の2乗に比例します。
つまりクルマの速度が高くなればなるほど、衝突時の衝撃は大く、乗員の危険性が上がります。
ここでご紹介するのは、動いている物体の運動エネルギーを求める計算式です。
高校での物理(力学)で学ぶ内容です。
運動エネルギーの単位は(J)ジュールです。
動いている物体の質量(kg)と、その物体の速度(km/h)から運動エネルギー(J)が算出できます。
運動エネルギー (J)= 1/2 x 質量 x 速度の2乗
です。
キャラバンプレミアムGXガソリン車の車両重量1820kgです。
- 1820kgの車体で25 km/hだと43,885ジュール
- 1820kgの車体で50 km/hだと175,540ジュール
速度が2倍になると、運動エネルギーは4倍になります。
速度が10倍になると、運動エネルギーは100倍になります。
つまりスピードの出し過ぎでクルマ大破するのは、運動エネルギーは衝突時の衝撃が速度の2乗に比例することが理由です。
自動車の重量が同じでも、時速25kmと時速50kmでは、運動エネルギーは4倍違います。

キャラバンと軽自動車との衝突では
軽自動車の車両重量を830kgと仮定しましょう。
キャラバンの車両重量は1820kgですので運動エネルギーは
- 830kgの車体で50km/hだと80,054ジュール
- 1820kgの車体で50 km/hだと175,540ジュール
速度が同じでも倍以上軽自動車とキャラバンでは(95,486ジュール)もの運動エネルギーの差が発生します。
自動車の安全性のテストは、同じ重さの車2台をぶつけ合い測定します。
しかし実際の交通事故のケースでは、同じ重さの車同士とは限りません。
当然重ければ重いほど衝突時の衝撃は大きく、それに耐える性能が無いと試験にパスしません。
質量=エネルギーですから、軽自動車では弾き飛ばされてしまいます。

「例えるなら大人と子供がぶつかるようなものです。」
乗員への影響も、キャラバンは衝突エネルギーで減速するだけなのに対し、余剰エネルギーで逆向きの加速をする軽自動車は乗員の体重が重いほど、深刻なダメージを負う事になるでしょう。
重いキャラバンの方は加速度が小さいですから、押し続けるのが楽に出来ます。
軽い軽自動車は動きやすいのですぐに速くなってしまいますが、押し続けるのが難しいのです。
重い方が加速時間、力ともに大きくなってしまいます。
まとめ
キャラバンは安全性が低い、ボンネットが無くて怖いなんて言われたりします。
しかし、しっかりと衝突基準をクリアしている現状があり、エアバックも標準装備され、大きな車体はいざというときに守ってくれる安心感があります。

3代目以前のE24キャラバンではボンネットは全くありませんでしたし、そもそも衝突安全の規格も無い時代でしたので参考になりません。
いざ衝突した際に怖いのは、そのような法改正前の車両です。
法改正前の車両では、ゾーンボディのように乗員を守る設計になっていません。

そのような車両では、衝突事故が起きた時のニュースで「原型が分からないほど大破」なんて映像を目にすることがあります。
4代目のE25キャラバンで衝突安全の新規格をクリアしたのが始まりで、その安全性は5代目のE26キャラバンへ引き継がれております。
しかし事故のケースは様々です。
壁に正面衝突や大型トラック等の車両が相手では、キャラバンはおろか安全基準を満たした乗用車でも大きな被害は免れません。
反対に自分のクルマより軽い車体のクルマとの衝突ケースであれば、運動エネルギーの大きなキャラバンの方が安全面で有利。

このように、様々なケースがあるため、何が安全なのかは一概に言えません。
とは言えキャラバンは決して安全面で劣っているわけではありませんし、先進安全装備によって事故を未然に防ぐ対策もされているので事故を回避、若しくは最小限にすることは可能。
そもそもキャラバンは、スピードを出すクルマではありません。
何より日ごろから安全運転に心がけ、余裕を持った運転をすることが大切です。
ご拝読くださりありがとうございました。
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